2025/4/5(土)
大学のワンダーフォーゲル部の同期の女の子が山スキーを始めた。いや、彼女が始めたというよりかは、泥沼の中から僕が泥だらけの手で彼女の脚を掴んで、山岳スキーという泥沼に引きずり込んだ、というのが真相かもしれない。
「沼に引きずり込んだからには責任取らなきゃダメでしょ」と、職を失って宇都宮に居候しているゴックン氏にコタツの中から言われた。「デートでしょ?僕も行きたいよw」などとケラケラほざく無職を、生意気なニートだなと思って軽くあしらいながら、「行先、博士山とかいいんじゃね?」と話しかけると、至って真面目なトーンで「いやぁ…初めての山スキーで博士山?良い山だけどさあ…もっとキラキラしたところ連れてってあげなよ」と普通に諭された。相変わらず穀潰しの分際で生意気だが、言っていることはその通りだと思った。
かくしてお嬢、Yちゃんの山スキーデビューは安達太良となった。
僕自身、女の子と2人で穏やかな山でスキーに興じるなどパラダイス気分でしかなかったのだが、ゴックン氏に土日の予定を尋ねたのが間違いだった。限りない優しさは時に無慈悲で、自分に牙を剥く。
「土日は何すんの?」
「え?君の家でダラダラしながらアニメ見て、その辺の山に散歩しに行くよ」
「一緒に来れば?鉄山南壁でも触って、雪の上歩いた方が楽しいんじゃないですか?」
「それもそうだね、じゃあ行こうかな」
僕もお人好しなものだな、と思った。下手なお人好しは身を滅ぼす。女子と2人で山に行く機会などそうそうない。風呂に入りながらため息をついた。
こうして、僕とお嬢のデート山行に、ニートが水を差すこととなった。行き帰りの車内など、穀潰しニートクライマー、へっぽこオタクジジイ、お嬢様の奇妙なトリオが混沌たる空気感を生み出すことは確実である。決して交わることのない2人が僕を通して交わってしまった。決戦前夜など車内でどうやって話題を回していこうかと思い寝れなかっ…普通に寝た。
ちなみに、山は良かった。楽しそうなお嬢を見るのが僕はいちばん嬉しかった。






