黒谷川の深淵に触れる 南会津 黒谷川西実沢~1723m峰~大幽東ノ沢ヨシノ沢南俣

2025/9/26(金)~28(日)

登山大系2番の愛読者として、黒谷川に興味が向いてしまうのは致し方ないだろう。南会津の主脈の東面を司る幽谷は、深緑の原生林のど真ん中をゆったりと流れ、四方八方を魚影が飛び交う岩魚の楽園だと聞く。いずれこの流域は通いつめるだろうが、まずは本流を遡行するのが行儀が良いだろう。集水域等を考慮して西実沢が本流とみて、これを遡行することにした。

【9/26】
霧雨が降るなか、小幽沢の出合から林道を歩き、適当なところでグズついた下降路で沢に降り立つ。
曇り空の黒谷川本流を遡行していく。黒谷川のヌメりは相変わらずで、足場に気を使いながら進む。今回の相棒であるS師匠はラバーソールの沢靴で、少々苦労している様子だ。
大幽沢の出合に架かる青い橋を通り過ぎる。この橋は黒谷の奥へ誘う門のようで、なんとなく高揚する。

クロタニの門

沢の向こうに垣間見える山々の緑の斜面がガスに巻かれる様子と、霧雨が落ちる中をただゆったりと流れる黒谷川の流れが絶妙に共鳴し、深山幽谷ぶりを際立たせる。

深い森
深山幽谷

崩ノ滝が近付き、太陽が顔を見せた。地理院地図の崩ノ滝の場所はおそらく誤っており、地図上の崩ノ滝の場所は流れの強いゴーロになっている。実際の崩ノ滝は地理院地図上の「岩幽」の表記がある辺りにあり、滝自体は果たして滝記号で示すものなのか疑問に思うような印象を受ける。

崩ノ滝付近
梯子沢出合

ようやく竿を出しながらゴーロを進む。しかしながら、竿を振るポイントをもったいぶりすぎたのか、この日はボウズになってしまった。梯子沢の出合に明らかに整地されたスペースを見つけ、幕を張る。国道351号線から安越又川を歩き、山越えして梯子沢から黒谷川源流部に入る記録を時たま見かけるので、ここで泊まる人が多いのだろう。味噌煮込みうどんを食べ、焚き火で暖まる。いつの間にか雲が消え、カシオペア座を見上げながら幸せな眠りに就いた。

のんびり

【9/27】
朝6時に出る。スギソネ沢出合から西実沢・東実沢の出合までは深緑色の素晴らしい森の中を歩く。

良い森だ

四方八方に岩魚が飛び交い、たまらず東実沢との出合で竿を振ったら1匹釣れた。その場で捌いて刺身にして食する。ひとまずボウズは回避した。

タンパク源

西実沢に入るとこれまでの深い森の中を流れる沢が一転、明るい沢になる。Co1151m地点手前で高幽山に詰め上がる文昌沢と出合う。そういえばこの文昌沢から高幽山に出て、東実沢を下ってくる記録はちらほら見るが、西実沢を忠実に遡行した記録はあまり見ない。これを尻目に先へ進み、Co1151m地点で小休止とする。

明るくなってきた

Co1260mの辺りで15m滝に出会う。ツルツルで直登できないので、右岸の灌木帯から巻きに入る。

15m滝

おおよそ100mくらい進み、傾斜が緩んだところで藪を繋いで沢に下りた。
この巻きで時間を要したこともあって(実は1度懸垂して登り返したため)、ここで梵天岳のピークは諦め、西実沢を忠実に遡行して、梵天岳の肩に位置するCo1723mのピークに詰め上げることを決断。この先は源流部らしく小滝が連続するパートとなる。

稜線が近付く
小滝連続
ちょっと悪かった滝

やむを得ず空身で登って荷揚げを強いられた5m滝の他は問題なく進み、13時前にCo1723mのピークに到達。驚いたことに稜線直下20mまで水が出ていた。豪雪でひん曲がったダケカンバに登って丸山岳を眺め、行動食を頬張った。

丸山岳

背丈くらいのチシマザサの藪漕ぎをして、ヨシノ沢南俣の下降に入る。源頭部の沢形を目指し、我ながら見事なRFで急峻なルンゼ状の真下に降り立った。ヨシノ沢南俣はCo1300mで傾斜が多少緩むので、一旦そこに目処を付け、2度の懸垂下降を交えながら慎重に下りる。

急な藪ルンゼを懸垂

ここからは等高線を見ても大したことはないだろう、と思って下りていくが、唯一の懸念点は魚影が無いことであった。どこかに魚止があるだろうと思案しながら下りていくと、10m滝が現れた。この滝が魚止と見て灌木に捨て縄を巻き、懸垂下降で突破する。しかしまだ岩魚がいない。まさかもう一発あるのでは…?と下りていくと、やはり2段20m滝のご登場。しかもその先にもう一発ありそうな雰囲気だ。5m程度の1段目を下りて2段目を懸垂下降で処理し、S師匠がロープを回収している間に先を見物に行く。やはり滝があった。こちらは地形を探り、左岸の細い灌木を繋ぎながら下ったら案外すんなり巻き下りることができた。

2段20m

滝の釜に魚影が見え、一安心。次第に暗くなっていく辺りを見渡しながら足早に進み、何とか完全な暗闇になる前にヨシノ沢西俣との出合(Co1046m地点)に着いた。右岸の台地を整地して幕を張る。若干低体温症気味だったので、衣服を全て着替えることにした。シュラフを入れていたビニールに穴が空いてしまい、シュラフがお陀仏になってしまったので、ちまちま火の世話をしながら焚き火の前で朝まで耐える。なかなか冷える夜で、30分毎に1度目が覚める。星空の綺麗な夜で、不思議と長く感じなかった。

暗くなっちゃった

【9/28】
5時に起床するも、前日からの経緯により寒いので、行程を鑑みて日が完全に昇ってから出発することにする。焚き火の前でのんびりとした朝を過ごす。
何だかんだ出発は9時頃になった。東ノ沢はゴーロが続く下りやすい沢である。窪ノ沢の出合からすぐサブウリのゴルジュが始まり、これは左岸にピンクテープが巻いてある容易な巻き道があった。

下りやすい
サブウリのゴルジュ

サブウリのゴルジュを抜けた先にソバナが可憐に咲いていて癒される。ブナ、トチノキ、サワグルミの美しい森に男2人で思わず歓声をあげ、ジムグリと戯れたりしているといつの間にか大幽西ノ沢との出合。

雰囲気が良い
写真では伝わらない

その後は歩きやすいゴーロをひたすら無心で歩き、黒谷川本流との出合に架かる青い門を見て一安心。本流を少し下って林道に上がり、小幽沢の駐車スペースでS師匠と固く握手を交わして山行を終えた。

ただいま

https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-8752426.html

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です