2026/4/4(土)~5(日)
春がやってきた。この時期はパリッとした山に行きたい。生ぬるい風に吹かれて、夢見心地で青空の下を泳ぐように登りたい。悠久のひとときをふわふわと漂いたい。
GWの縦走の足慣らしのために、SWV卒の3人でどこか雪山縦走に行こうと検討していたところ、只見のラッセルゴリラが「混ぜてくれ」と急遽参戦することになった。「北アのユルい雪稜がいい」というゴリラの図々しい希望もあり、それならロープを出す雪稜をやろうと、白馬周辺の雪稜をやることにした。「トレースがあると雪稜の楽しみは半減する」と、山へのこだわりが面倒臭い某2名(ゴリラ・僕)が駄々をこね、登山大系を眺めて主稜ではなく三号尾根をチョイス。山頂にダイレクトに突き上げており、登山大系には「難易度は主稜と大差ない」とある。天気さえ良ければ、春の雪稜をのんびりと楽しめそうだ。
【4/4】
神戸から来るS君と深夜に神城駅で合流し、そのまま駅寝。早朝に車を走らせて二股のゲートまで移動し、お喋りしながら林道をワイワイと歩いていく。ムチムチした体型のカモシカがフリフリとお尻を振りながら沢の中を駆け抜けていった。
予報通り、猿倉の辺りで雨になる。徐々に雨脚が強くなり、この日は白馬尻で行動を打ち切ることに。そそくさとテントを設営してさっそくティータイムに移り、Yちゃん特製チャイティー(お茶菓子付き)、Sくんが持ってきてくれたサーターアンダギー、ゴリラが持ってきた大量のお菓子で和気あいあいと過ごす。僕はというと夕食の担当である。4人分の食糧を背負うと流石に重いが、練り物がとても美味しかったので良しとしよう。外はずっと雨が降り続いていた。


【4/5】
暗いうちから大雪渓を登って沢を詰め、三号尾根に上がる。白馬尻にテントを張っていた他のパーティーは主稜へ行ったようだ。大雪渓のアプローチではアラレに叩きつけられ、「勘弁してくれ…」という気分だったが、時間が経つにつれ回復し、気付けば朝日が神々しい。前日の雨が悪さをして、踏み抜きが多発するザブ雪で歩きにくい。4人で先頭を回しつつ進む。ゴリラはいつも通りラッセルが速い。ロープを使う山が初めてのS君がいるので積極的にロープを出すことにする。


【1P目】Yurikamomeリード
藪混じりの急斜面。グズついており、見た目より悪かった。

【2P目】Yurikamomeリード
僕がトップでフリーで雪壁を登っていくが、思ったより急だったので、後ろの3人はYちゃんにロープを伸ばしてもらうことに。乗っ越しがグズグズでちょっと大変。

【3P目】僕リード
ちょっとした岩場を乗っ越す。10mちょい伸ばしてロープを畳む。

ここから傾斜が緩み、フリーで進む。容易な雪稜をズボズボと踏み抜きながら進み、ルンゼをザラメラッセルしながら詰めていく。
雲海にぷかぷかと浮かぶ雪稜はまるで船に乗っているかのようだ。夢見心地でもはや眠くなる。それでも、日本離れした雄大な景色が眼前の情報として飛び込んできて、はっと目覚めさせられる。流石は白馬、素晴らしいロケーションである。
頂上近くになって岩壁が出てきたので再びロープを出す。




【4P目】僕リード
簡単な雪壁。踏み抜いた際に岩に脛を強打してめちゃくちゃ痛い。このせいであんまり記憶が無い。

【5P目】僕リード
ハイマツ混じりの斜面から脆いルンゼを詰めて頂上直下まで。

頂上稜線の雪庇は無く、すんなりとトップアウト。ものの1分で山頂に着く。やっぱり山頂にダイレクトに突き上げるのはラインとして美しい。山頂からは剱岳がひときわ目立つ。深い黒部の谷は真っ白なガスの羽毛布団に覆われ、黒部別山が毛布に包まれながら顔を出している。
大雪渓をシリセードを交えつつ下ると、一瞬で白馬尻まで着いた。Yurikamomeはうさぎのように速い。ゴリラのラッセルでも追いつけない。



テントを回収して往路を下山する。行きは和気あいあいだった林道も、帰りは何故だか長い。ゲートの手前で昨日と同じ個体であろうムチムチのカモシカに会った。くたびれた身体にコーラを一気に流し込めば至福である。
三号尾根は白馬岳の山頂に突き上げる素敵な雪稜だが、日本屈指のグラビアルートである賑やかな白馬岳主稜とは一転、静かな山歩きが楽しめる。山頂に直接立つことのできる美しいラインや、スッキリとした内容を考えても、もう少し登られてもいい尾根だと思う。技術的な厳しさも無く、Sくんの初の雪稜ということを考えても、我ながら良いチョイスだった。何よりロケーションが日本離れしていて美しい。天気が回復してくれたのも幸いだった。来年は白馬鑓北稜に行きたいなあ。

コメント