2026/9/12(土)-13(日)
メンバー:ドラゴン、JOHSON
沢を始めた学生の頃、上智大ワンゲル部の部室で、授業をサボってはガイド本を捲っていた。ペラペラとページを捲る中で、最初に強烈な憧れを抱いたのは谷川の沢だった。奥多摩や丹沢、奥秩父のささやかな沢ばかりを登っていたあの頃、明るい岩盤とスケールの大きな滝が連続する谷川の沢の渓相は、途方もなく眩しく見えたものだ。しかし、自身の趣向が年々偏屈になっていくにつれ、キラキラと煌めく王道の谷川の沢は、いつの間にか後回しにされていった。
沢シーズンが始まる前、只見在住のゴリラは、「カミムラくん、越後や毛猛の沢をやりたくば、まずは谷川に通うといいよ」と言っていた。その言葉に従い、今年はどこかで谷川の沢を一本やろうと、当初はこの日程で谷川の王道・赤谷川本谷を計画していた。しかし、先週の沢で滑落負傷し、右足の調子は芳しくない。おまけに、こういう時に限って見事に風邪気味だ。こんな時に無理しても仕方ないので、賢明に難易度を少し落とし、今回は万太郎谷本谷へと転進することにした。こちらもまた、谷川を代表する銘渓である。
相棒は中央アルプス以来となる、上智ワンゲルの後輩・ドラゴン。JECCに所属する新進気鋭のアルパインクライマーだ。昨冬には厳冬期裏銀座をやって体力も度胸も抜群!頼もしい!
【9/12】
先行パーティがいる(かもしれない)との情報を受け、土樽駅で駅寝をキメたものの、見事にガッツリ寝坊。結局、出発は7時半までずれ込んだ。林道の分岐を盛大に間違えたりしながらも、数ある記録でお馴染みのスリット堰堤から入渓する。

予報を良い意味で裏切る晴れ模様。序盤はゴーロ歩きが続くが、少し進めば美しいナメが顔を出す。左岸にそびえ立つ関越道の換気塔を「お、記録でよく見るやつだ…」と物珍しく観察しているうちに、オキドウキョウの瀞へ出る。風邪気味なので、サクサクと巻きで通過して井戸小屋沢の出合を過ぎると、一気にゴルジュの気配を帯びてくる。男2人、渓相の良さにテンションが上がってはしゃぎ声を上げる。








美しい3mナメ滝を越えると程なくして一ノ滝。左壁からJOHSONのリードで1ピッチ。難しいムーブはないものの、浅打ちのハーケン+ランナウトでヒヤヒヤさせられる。



続く二ノ滝は右からフリーで突破。イシクラ沢出合を少し過ぎた右岸に、明らかに人の手で整地された幕営適地を発見し、本日の宿とする。



他のパーティの姿はなく、まさかの貸切バンザイ!ドラゴン特製の濃厚なビーフシチューを胃袋にかき込み、今日も今日とて焚き火の温もりの中で浅い眠りへと落ちていった。


【9/13】
今日も安定の寝坊。昨日を上回る文句なしの晴天の下、8時半という沢ヤにあるまじき悠々とした時間帯に出発する。

三ノ滝はドラゴンのリードで2ピッチ。下部は右壁を捉え、上部は右から這い入る水流沿いを経て灌木帯へと抜ける。



三ノ滝を越えると、渓相は一気に源流の様相へ。1500m付近で水流がほぼ途絶え、スラブ状の沢形をグイグイと突き上げる。最後はささやかな笹薮をひと漕ぎして、肩ノ小屋へと飛び出した。




せっかくなので空身でサクッと山頂を踏みに行く。ロープウェイの運賃1800円を払うのがどうしても納得いかないので、西黒尾根を足早に駆け下りる。火照った身体でベースプラザに降り立ち、冷えたコーラで乾杯!


沢を始めた学生の頃から、いつかはと憧れ続けていた谷川の沢。後回しにしているうちに年月は経ったが、ようやくその地に立つことができた。
コンディションの関係で当初の予定からは転進したものの、やはり万太郎谷もまた谷川を代表する銘渓だ。多くの遡行者を迎え入れてきたことに納得させられる1本だった。
ビバ!谷川!
次こそは、赤谷川本谷を登りに行こう。

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